闇に立つ
無機質なネズミ色のノッポは
行きすがるハズも無い
気持ちに隠れた
端の吊り上がった気難しい
心の中でも
まるで見透かすかのような
長い溜息を聞いた
帰り道に見捨てた
黒い猫の母親は
勘違いするわけもなく
自分勝手に降りだした雨を
いつもの日常のように
気にしないフリをする
立ち止まる事も無い
未練も涙も
全ては生きるために
銀色に輝く
細長い指にはめた指輪は
1日の声を聞いている
ただ黙って
自分の意見も押し殺し
そこにいるだけで
誰かが幸せになれるなら
バラの花の美しさも
陽気な楽器の演奏も
鼻をくすぐる香ばしい香りも
何物にも変え難い眩しい笑顔も
強い決意を秘めながら
更新の日を黙って見つめる
眼鏡の男は
自分の気持ちに嘘はつけない
衝動にかられ
山に辿りついた時には
気を失っていた
心地よい崩壊の音を聞き
地面に耳を澄まして
流れる鼓動を感じ
止まらない慈悲を思った
全てを許す
とても大きな
大きな
慈悲を
止まらない涙を
流れるままに
一体になりたいと願い
気持ちの奥を熱くした
血管に根をはり
いつまでも
この鼓動と離れないように
いつまでもこの鼓動を感じれるように
そのコンクリートの下にある
偉大な慈悲を感じ
何の枠も無い大きな
絶望の隣になる
何も感じない
とてつもない鼓動を
いつかは一つになれるはずの
広大な母体を
愛に満ち溢れた
数え切れない色のバリエーションを
自分の小ささを
虚しいと思った
醜さを
エゴを
記憶の引き出しに収まらない
失敗の数々を
流した涙も
地に帰る事の無い
矛盾に
脳を掻き毟りたくなる程の
苛立ちを覚え
他人との競争の中で
貼られたレッテルを
とても黒い
無限の穴を掘り
全てを吐き出し
自分を放り投げた
サイケデリックな
眺めの良い急降下で
初めて
絶望の隣を見つけた
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