火曜日, 12月 16, 2008

セオリー通り 視界良好

闘いを望みをせずに
ただ朽ちるだけ
朽ち果てるだけ
たった一度の人生だから…
なんて無責任で
なんて軽はずみな言葉
この世に生を授かってから
この言葉ひとつに縛られる
たった一度の人生だから…と
自由に生きたいと
自分の思いを伝えたいと
その存在を伝えたいと
誰もが抜けられない
深い闇に沈んでゆく
自ら止まらない歯車へ列をなす
誰かが作った自由という名のレールを繰り返し唱える
ハッピーな人生
自分の証明
死ぬために生きる矛盾
裏腹ばかりの笑顔の中で
薄気味悪い灯台主のように
嘲る幸せと共に訪れる
空虚は初冬の日差しのように

気付かないフリで自由を叫んでみても
言葉に占拠された脳みそでは
もはや何も感じない
全ては言葉に変換されて
流れ作業のように
セオリー通りの表情を浮かべる
言葉以外を感じられない人間でも
夜寝る前の闇の中で
静かに
静かに無を感じる
自由という言葉を発しない
その瞬間こそが求める空間だと
知るよしもない
死ぬための豊かさを求め
死ぬための快楽を求める
他人との協調しか感じられず
極端な人間選別
通り魔は何を思った?
作り上げた人間像は
無意味なオブジェのように
ただ居座り
ただ眺める
死への恐れを宥めて
言葉で諭す

勇気では無い
ただ人の死を身近に感じたかったんだ
平等では無い命でも
平等な瞬間は訪れる
魂を遮った目線の先にさえ
漂う最弱者を吹き飛ばし
陽気な髪型で
水路を渡る
湧き上がる鼓動の力
終わらない咳が続き
長い夜が
永遠に好きな絵を描き
羅列された小人に誓い
階段の上では
光らない鏡に姿を映す
流れる白い流星は
消えない花火に似た
眩い程に透明な
指の長さを測り
失いながらも諦めずに
乾いた湖に願いを託し
国籍も飛び越えた
死の重さに心を打たれ
こんな微力でも
踏み出す幅は違っても
どんなに離れた時間でも
奇跡は感じるもので
実感するものではない
言葉の奇跡は
奇跡に似た言葉で
本当の奇跡は
言葉を忘れた時に感じる
時間の長さ
捲れ上る血脈の顛末に
長いテープのスタートライン
気付いた音量の中には
威圧する態度に飽きた
見事な勝利
投了するまでは
投了するまでは

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