水曜日, 9月 10, 2008

どれでもいーや。①

絵本(絵無し)
※改行の部分にイラストが入ります。
※イラスト随時募集中。


今日は3月21日
違うんだ、4月8日
細かい事は気にしない
7月でも12月でも
地球が何週周っても
どれでもいーや。
カレンダー付きの地球儀を手で転がしながら
心で思った。

「トン、トン、トン、トン」
台所から包丁でまな板を叩く音が聞こえてきた。
同時に赤い鍋から、美味しい湯気の香が漂ってきた。
今日はカレーかな?
心の中で小さく呟く。
「ジャーッ」
フライパンを軽く焦がす香ばしい香だ。
やっぱり、ピラフかな?
心の底で小人が踊る。
「ただいま」
誰かが帰って来た。
心の上でスピーカーが響く。
やっぱり、どれでもいーや。

ご飯はスープとチキンカツ。
「ほーら」
声が出た。
隣の人に睨まれる。
頭の左の方で、矢印の尻尾を持った笑顔の
猫が歯軋りしている。
笑いかけた僕に気づいて、
走って寄って来た。
近づけば、近づくほど、さっきまでの笑顔が
黒い毛の固まりだとハッキリ想像できた。
あ~
雲を眺めてた方が楽だったな。
現実に帰り、八分の一程食べたご飯を台所まで
自分で戻した。
ドアを開け、空を見上げると
外は驚くほどの青白さで晴れていた。
雲が無いのか…
ハトやカラスやすずめが空を飛んでいる。
まぁどれでもいーや。
雲の変わりに、飛行機を眺めた。

外が暗くなると、
飛行機も明かりを頼りに探すしかなかった
いや
もう飛行機など探していなかったのかもしれない。
300メートルも先のコンビニの明かりが
赤、黄色、白、様々な光で異様な風景を作っていた。
夜の散歩は嫌いじゃないが
ことごとく、却下された。
1回目はポケットにハンマーを忍ばせてたから。
2回目は三国志の小説を持っていた。
3回目は左耳のピアスを亡くしたから。
4回目は使い捨てカメラをデパートで盗んだから。
5回目は「ごめんなさい」を言えないから。
6回目は無かった。
悪いのは、僕じゃない。
隣の犬がうるさく吠えるから。
機嫌をとるような甘い囁きなら大歓迎だ。
でも、どれでもいーや。
外がダメなら
内で最高の遊びをしよう。
左の脳が叫んだ。

つづく…

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